SURVEY REPORT 2026

「教える時間がない」
の正体は
属人化だった
製造業449回答
徹底分析

製造業に従事する方々から合計449件
の回答を集めた最新調査。
属人化39件、事故防止32件、
ベテラン依存31件——
20点超のグラフで、
製造業教育の本当の構造課題を可視化する。

2026年4月実施 449回答 製造業 全6業種 男女比 51:49
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業種別・属人化・技能継承・法規制対応など、製造業教育の現場が知りたいテーマを毎日新しい角度で解説

回答者449件の全貌——20点超の図表で可視化

本調査は2026年4月、製造業に従事する方々を対象にオンラインで実施した。合計449件の回答を、業種・役職・性別・年代・地域の5軸でクロス分析した結果を以下に示す。

449
総回答数
6業種
製造業全カテゴリ
349
自由記述あり
47都道府県
居住地カバー
73.7%
製造業集積地居住率

図1|業種別 回答件数の分布

n=449(全回答件数)
食品・飲料 148件 (33.0%)
機械・金属加工 108件 (24.1%)
電気・電子部品 74件 (16.5%)
その他製造業 68件 (15.1%)
プラスチック・化学品 29件 (6.5%)
化粧品・薬品 22件 (4.9%)

図2|役職別 回答件数の分布

n=249(役職記載のある回答)
一般社員・作業者 125件 (50.2%)
班長・リーダー・主任 62件 (24.9%)
係長・課長(中間管理職) 40件 (16.1%)
教育担当・品質管理担当 11件 (4.4%)
部長以上・経営層 7件 (2.8%)
人事・総務 4件 (1.6%)

図3|都道府県別 回答件数(上位15)

n=240(都道府県記載のある回答)
東京都
51
大阪府
25
神奈川県
19
愛知県
19
茨城県
13
北海道
12
埼玉県
11
静岡県
8
千葉県
8
兵庫県
8
広島県
6
福岡県
5
岡山県
5
長野県
5
滋賀県
4

回答者は東京・大阪・神奈川・愛知という製造業集積地に集中。これらの都府県だけで回答者の半数近くを占めており、データの妥当性を裏付ける分布になっている。

図4|性別ピクトグラム(回答100件あたり)

n=409(性別記載のある回答)|男性51.5%(211件)/ 女性48.5%(198件)
男性 51.5%(211件)
女性 48.5%(198件)

図5|業種別 性別構成

n=362(性別+業種記載)
食品・飲料
28
72 / 72.0%
機械・金属加工
36
38 / 51.4%
電気・電子部品
38
21 / 35.6%
その他製造業
33
27 / 45.0%
プラスチック・化学品
13
8 / 38.1%
化粧品・薬品
13
5 / 27.8%
男性
女性

食品・飲料業界の女性比率72.0%は他業界を圧倒する。一方で、化粧品・薬品業界は女性比率27.8%と意外な低さ。化粧品=女性ユーザー向け商品のイメージとは裏腹に、製造現場では男性中心の業界構造が見える。

図6|年代分布

n=156(年代記載のある回答)
30代
35.3%
55件
40代
28.2%
44件
20代
22.4%
35件
50代
5.1%
8件
60代
5.1%
8件
70代
1.3%
2件

30代+40代で63.5%を占める中核世代分布。20代を加えると85.9%が50代未満で、デジタル親和性の高い世代が回答主体だ。

調査全体像をさらに深掘りする連載記事
449回答の前段にあたる第1回調査(n=200)と、業種別の深掘り記事を公開中です。

「教える時間がない」の正体は属人化だった

本調査の最重要発見がこれだ。選択肢で「最も困っていること」を聞いた結果と、自由記述で「自分の言葉」を書いてもらった結果が、まったく違う風景を見せた。

選択肢で選んだ結果
40.7%
1位「教える人の時間・負担」

選択肢から1つ選ぶ形式では、過去の調査と同様に「時間負担」が首位に。属人化の選択率は34.9%(2位)。

自由記述で書いた結果
11.2%
1位「属人化」(39件で最多)

自分の言葉で書いてもらうと、属人化が圧倒的に最多。時間負担の言及(13件・3.7%)は3倍離れた4位に転落。

図7|自由記述でのテーマ別出現数(449件ベース)

n=349(自由記述15文字以上)|複数テーマ該当あり
属人化・バラつき
11.2%
39件
事故・品質トラブル
9.2%
32件
ベテラン依存
8.9%
31件
価格肯定(手頃・魅力的)
7.4%
26件
スマホ・スキマ時間学習
6.0%
21件
導入が難しい
5.2%
18件
法規制(ISO/HACCP/GMP)
4.0%
14件
時間負担
3.7%
13件
価格懸念(高い・コスト)
3.4%
12件
実技・感覚スキル懸念
3.4%
12件
理解度テスト評価
2.9%
10件
人手不足・離職
2.9%
10件

「時間がない」は症状、「属人化」が原因

自由記述で属人化39件 vs 時間負担13件=3倍の差で、属人化が最多テーマだった。

この事実は構造的に重要な意味を持つ。「教える時間がない」と感じる本当の理由は、属人化していて何度も同じことを違う言い方で繰り返し教えなければならないから。教育の中身を標準化しないと、いくら時間を増やしても同じ問題が再生産される。

現場では教える人によって内容にバラつきがあるのが課題です。動画で標準化されていれば、教える側の負担が減り、ミスも防げると感じました。月額費用も手頃だと思います。 機械・金属加工 / 班長・リーダー
今の現場では、ベテランの職人さんが自分の仕事で手いっぱいで、新人を育てる時間がなかなか作れないのが現状で、さらには教えてくれる先輩によってやり方やコツが微妙に違うので、新人がどっちが正しいのか困ってしまう。 機械・金属加工 / 班長・リーダー

業種別ヒートマップ——どこに何が刺さるか

業種ごとに教育の課題は異なる。下のヒートマップは、業種別に各テーマがどれくらい強く言及されたかを示している。

図8|業種 × 教育テーマ ヒートマップ

色が濃いほど該当業種で該当テーマが多く言及された|数値は当該業種の自由記述件数に対する割合(%)
業種\テーマ 属人化 事故防止 ベテラン依存 価格肯定 法規制 スマホ評価
食品・飲料 8.7 9.2 7.7 9.2 6.2 7.7
機械・金属加工 20.6 11.8 13.2 5.9 2.9 5.9
電気・電子部品 6.5 6.5 9.7 9.7 9.7 6.5
その他製造業 9.5 7.1 7.1 7.1 0 4.8
プラスチック・化学品 10.0 0 10.0 0 0 10.0
化粧品・薬品 7.7 7.7 7.7 0 23.1 0

ヒートマップから読み取れる業種ごとの特性は明確だ:

図9|業種別「教える人の時間・負担」回答比率

選択肢回答ベース|各業種内の比率
食品・飲料
50.0%
15/30
機械・金属加工
36.0%
9/25
その他製造業
35.7%
5/14
電気・電子部品
33.3%
3/9
プラスチック・化学品
33.3%
2/6

役職と立場——板挟みになっている中間層

回答者の役職分布を見ると、班長・リーダー24.9%、係長・課長16.1%と、現場の中核を担う中間層からの回答が一定数集まっている。

図10|役職別 次のアクション

n=218|役職別の回答比率
経営層
資料 43%
不要 57%
係長・課長
資料 41%
体験 18%
相談 12%
不要 23%
他社
班長・リーダー
資料 54%
体験 16%
相談
不要 20%
人事・総務
資料 33%
体験 22%
相談
不要
他社
一般社員
資料 28%
体験 20%
不要 40%
他社
資料がほしい
無料体験
オンライン相談
今は不要
他社利用中

注目すべきは班長・リーダー層の「資料がほしい」が54%と圧倒的に高いこと。これは表面的な情報収集ではなく、上司を動かすための稟議準備の動きだ。

図11|サービス導入時の自分の立場

n=218
情報を渡せるが提案困難
37.2%
81件
上司に提案できる立場
34.4%
75件
自分には関係ない
22.9%
50件
自分が決められる(決裁権)
5.5%
12件

製造業の意思決定はフラットではない

決裁権あり層はわずか5.5%。残り95%は「直接決められない」立場で回答している。

製造業の組織構造は、現場の声がそのまま経営層に届くフラットな構造ではない。「下から上への意見が通る道」が極めて限定的であり、班長・係長層は現場の課題を実感しながらも、それを経営課題として上に届けるルートを持たない。

だから彼らは「資料がほしい」と言う。資料があれば、上司の机に置ける。Slackで転送できる。「自分の言葉で言わなくていい」状態を作れるからだ。

図12|性別 × 管理職比率

n=136(性別+役職記載)
男性
管理職 53.8%
一般 46.2%
女性
管理職 25.4%
一般 74.6%
管理職(班長・係長・部長以上)
一般社員・人事・教育担当

男性管理職比率53.8%に対し、女性は25.4%と倍以上の差。女性回答者の多くは「現場で実情を知っているが、提案権を持たない」立場にある。

中間層が抱える組織課題の現場リアル
「資料がほしい」54%の背景にある現場の声と、製造業全体の組織構造を分析した第1回調査記事です。

価格と購買意欲——本当のボトルネックは別にある

図13|社員1人あたり月額予算の意向

n=86(予算回答)
月1,000円なら使う
40.7%
35件
月3,000円でも内容次第
18.6%
16件
わからない
18.6%
16件
使わない
11.6%
10件
月500円以下なら使う
10.5%
9件

図14|価格別 累積利用意向

価格帯別に「使う」と答えた累積比率
月3,000円までなら使う(累積)69.8%
月1,000円までなら使う(累積)51.2%
月500円以下のみ使う10.5%
使わない+わからない30.2%

「月1,000円なら使う」と「月3,000円でも内容次第」を合わせると累積69.8%が利用意向あり。価格帯としては適正水準と言える。

「高い」と感じる本音
金額の問題ではない

「ひとり1000円出せる企業はすでに他のものを導入している」

「小さい製造業では1,000円/人・月が上限」

本質は「予算化の構造」「他サービスとの併用」「導入後の運用工数」の問題で、純粋な金額ではない。

助成金活用で実質負担を圧縮
250円/人〜
人材開発支援助成金で最大75%補助

月額1,000円/人〜が中小企業の場合、実質250円/人〜まで下がる。本助成金は令和8年度で終了予定のため、検討する場合は今期がチャンス。

本当の購買障壁は価格ではなく「決裁プロセス」

「月1,000円なら使う」と答えた層の多くは班長・一般社員。彼らは金額を判断する立場にない。一方で経営層・部長クラスはわずか3.3%しか回答していない。

価格を下げても、決裁する経営層に情報が届かなければ売上にならない。本当のボトルネックは「現場が認知していても、経営層が知らない」という情報伝達構造にある。

紹介意向と組織構造——届かない情報

図15|社内紹介意向

n=269(紹介意向回答)
難しい(立場なし)
48.3%
130件
検討してみる
25.7%
69件
紹介するつもりはない
24.5%
66件
ぜひ紹介したい
1.5%
4件

図16|役職 × 紹介意向 ヒートマップ

数値は当該役職での比率(%)
役職\意向 ぜひ紹介 検討 紹介しない 立場なし
係長・課長 2.9 50.0 20.6 26.5
班長・リーダー 3.6 35.7 23.2 37.5
人事・総務 0 33.3 22.2 44.4
一般社員 0.9 22.0 23.9 53.2
経営層 0 14.3 42.9 42.9

唯一動く可能性があるのは係長・課長層の50.0%。中間管理職こそが、現場と経営の橋渡し役として、サービス導入を真剣に検討する立場にある。

ぜひ会社の上司に勧めたいのですが、私がそのようなことを言える立場にいないので今のところ難しいです。 食品・飲料 / 一般社員
非常に有益ではあるが、私からでなく直接会社に説明してほしいです。 プラスチック・化学品 / 班長・リーダー
なかなか現場職でもラインだと新しいシステム導入とかの発言権がないので、会社宛てにDMとかを流してほしい。 食品・飲料 / 一般社員

調査から見えた7つの構造課題

449件のデータを多角的に分析した結果、製造業教育の構造課題は以下の7つに整理できる。

① 「教える時間がない」の本質は属人化

選択肢では時間負担が1位だが、自由記述では属人化が3倍言及される。時間を増やしても解決しない構造課題だ。

② 業界ごとに痛み所が違う

食品=時間負担+HACCP、機械=属人化+ベテラン依存、化粧品=法規制(GMP)。汎用的な解決策ではなく、業界特性を踏まえた処方箋が必要。

③ 中間層が板挟みになっている

班長・係長は現場を回しているが決裁権は限定的。「資料がほしい」が54%という回答は、上司への稟議準備のため。

④ 価格は二極化、本当の壁は決裁構造

月1,000円で69.8%が利用意向あり。だが、現場の声が経営層に届かなければ意味がない。

⑤ 女性管理職比率の低さ

女性回答者48.5%に対し、女性管理職は25.4%。情報を持っていても提案権を持たない女性が多い。

⑥ 紹介できない構造

48.3%が「紹介する立場ではない」と回答。製造業の組織構造はフラットではなく、横の提案ルートが少ない。

⑦ 中核世代はデジタル親和性が高い

30代35.3%+40代28.2%+20代22.4%。動画教材・スマホ学習との親和性が高い世代が、現場の中核を担っている。

製造業教育の打ち手は「コンテンツ」ではなく「届け方」の変革

この調査の最大の発見は、製造業の教育課題は「いいコンテンツがない」のではなく「いいコンテンツが必要な人に届かない」点にあるということだ。

班長・係長層がもどかしく抱える課題感を、経営層に届ける仕組み——それが「動画教材」よりも先に必要なものかもしれない。稟議資料・調査レポート・経営層向けの試算データといった「組織内で動くための武器」こそが、現場の声を予算に変える。

調査の元データと分析資料

本調査の詳細データ・業種別レポート・経営層向け試算資料は、
下記より無償でご利用いただけます。

調査実施:2026年4月|回答件数:449件|調査方法:オンラインアンケート
運営:品質カレッジ(Qulio合同会社)